大分類を意識する

模擬試験や大学の試験で「知っていたはずなのに正解できなかった問題」、誰でもありますよね。人によっては、そういう問題がほとんどということも珍しくありません。

皆さんも実感されているように歯科医師国家試験で必要な知識はかなりの量になります。ただ受験生の皆さんは必要な知識を持っていないわけではありません。

頭の中の知識が整理されていないから、得点につなげられないのです。

これってものすごくもったいない!せっかく武器を手に入れたんなら、それを使いこなしましょう。そのために大切なのが大分類です。

知識を精度高く正解につなげるには

ちょっとイメージしてみてください。

今、自分が持っている服をハンガーや引き出しからすべて取り出して、一つの山にします。その山から「黒のモヘアのニット」を探すとしたら、すぐに見つかりますか?見つけるまで絶対に時間がかかりますよね。場合によっては「黒のコットンのニット」を手にしてしまうかもしれません。

「欲しい物を正確に、しかも素早く見つける」ためには、整理整頓が必須です。

まずはタンスを作って、その中に棚を作る。さらに棚に小分けボックスを入れる。そんなイメージで、知識を大分類からきちんと整理していきましょう。それをするだけで、持っている知識の量が同じでも、正解の数はぐんとアップします。

大分類を意識できているかチェック!

たとえば歯周外科。大きく分けたらいくつ?大分類すべて言えますか?

いかがでしょう?しっかり答えられた人は意外に少ないと思います。

歯周外科は大きく分けて4種類。
組織付着療法、切除療法、歯周組織再生療法、歯周形成手術となります。

多くの受験生はそれぞれの手術の切開法や使用器具など細かなことはしっかり覚えています。ただ、細かいことに目が行き過ぎて、大枠を意識することがどうしてもおろそかになってしまいがち。それがケアレスミスにつながっていきます。

大分類だけで解ける問題も、また大分類がわかっていれば選択肢を半分くらいに削れる問題も、歯科国試ではたくさんあります。決して回り道ではありません。むしろ「知識が多い人ほど、整理をおろそかにすると大混乱」なはずなので、人によっては大きなボーナスチャンスです!

アウトプットをよくするにはインプットを改善

知っているはずなのに解けなかった

そんな時、受験生の多くは「問題を解くときにどうしたらよかったんだろう」と振り返りがちですが、アウトプットがダメなのではなくインプットがダメなケースがほとんど。

知識を入れるときに、いつでも大分類を意識しましょう。

一番大きい分類は教科書や参考書の「章」。勉強する際には「今日は小児の咬合誘導を重点的にやろう」「今から外科の粘膜疾患を見直そう」というように、どの分野を習熟したいのかしっかり意識してください。

次に何か覚えたり、理解しなければいけないとき、必ず最初に「大きく分けていくつあるのかな」とチェックしてください。大きな項目をメモなどに書き出して、勉強中に何度でも見直す方法も有効です。

いずれも地味にみえるでしょうが、ここができてないからケアレスミスが減らないケースは本当に本当に多いのです。ただ「自分の意識を変える」のって、やっぱり難しいです。試験対策で「この問題集を一冊やる」とか「この資料を一通り覚える」といったモノを基準にするのは、すごく取り組みやすいんですよね。一方で人は誰でも自分自身の考え方や勉強の癖がありますから、「自分の意識を変える」のは相当な決意が必要です。

でも効果のほどは保証します。あちこちで何度でも繰り返しお伝えしますので、その度に「ちゃんと整理整頓できてるかな」って見直していってくださいね。

実際にこれで多浪を乗り切った人も

以前指導していた受験生ですが、勉強しているものの何年かかかっており、本人も悩み尽くしていました。

口頭試問してみると、知識の量は相当なもの。でも模試ではそれが全く発揮できていませんでした。口頭試問の種類をいくつか試したところ、大枠の話になるほどにあやふやに。大分類が意識できていないことが不正解につながっている可能性が高かったため、毎日の学習が終わった段階で、その内容を報告してもらうようにしました。

最初のうちは
「今日はディスタルシューの適応と技工操作、バンドループのループの形と使う材料、リンガルアーチの特徴と・・・・・・」と延々と報告が続きましたが、「それちょっとまとめてみて」と所々促すと徐々に
「今日は小児咬合誘導の範囲で非可撤式の保隙装置について勉強しました」
といった具合に、どんどん整理されていきました。毎日報告しなければいけない、そして必ず「まとめて」とつっこまれる、そのことで勉強中も意識がガラッと変わったそうです。

結果的にその方は1か月で総合得点を50点近く伸ばしました。一度「こんな感じに整理すればいいんだ」とつかんでしまえばしめたもの。本番も難なくクリアしました。

細かな知識に集中してしまうのも「1点でも多くとりたい」と真面目に取り組んでいるからこそ。その努力は素晴らしいものですから、そこに「大分類を意識する」ことを加えて、必ず結果に結びつけましょう。