過去問学習:周回ごとのポイント

歯科医師国家試験対策の主役である過去問。

6年生の4月時点でまったく手をつけていないという方はほぼいませんが、科目によってかなり進捗状態が違ったり、計画的に使用していなかったために以前勉強したはずなのに忘れてしまっていたり、、、。わりともったいない状態になっているケースをよく目にします。

勉強するからには、しっかりペース配分を考えて最大限のリターンを手にしましょう!

過去問一周目は

到達目標

まず過去問一周目の到達目標は「国家試験問題の把握」です。

「この科目はこの辺りのことが出題されるんだな」「この分野の出題が多めなのか」

そんな感じに、本番までに何をどのくらいやればよいのか想像しながら進めていきましょう。

特に攻略にちょっとコツが必要な基礎系については「まずはざっくり把握。その後、臨床系の過去問をやりつつ理解度を上げる」方針を心がけてください。基礎系科目の攻略について詳細は以下の記事にまとめています。

難しいものやマニアックなものは後回しに

一周目は何しろ時間がかかるものですし、丁寧にやりすぎて計画に遅れが生じることがしばしばあります。でも歯科国試対策は「期限を守ること」が何よりも重要。優先順位を考えながら、計画に遅れが出ないように注意してください。

ただ、勉強をはじめたばかりのころは優先順位自体もわからないですよね。それでいいんです。そのトレーニングも一年かけてやっていきましょう。

制限時間を設定

まずは一問ごとの制限時間を設定してください。一問にかけるのは、おおよそ15〜30分。問題を解き、解説を読んで、わからないことを調べて、その上で制限時間を超えるようならそのページに付箋をつけて次の問題に進みましょう。

見たことあるかでジャッジ

時間を設定するまでもなく「えっ!こんなの見たことない」と感じるような自分にとってマニアックなものも、とりあえず付箋をつけて後回しで構いません。ただし前後に同じテーマの問題があるなら、つまり国試で複数回出題されている内容なら「自分がたまたま知らなかっただけ」なので付箋の対象外。きちんと教科書などで調べておきましょう。

付箋をつけた問題の処理

付箋をつけた問題はまとめて大学や予備校の先生に質問し、解き方だけでなく「国試におけるメジャー度」も教えてもらいましょう。メジャー度が低い問題は、ざっくり理解で構いません。この先、皆さんは模擬試験で数千問の問題を解きますし、予備校の対策講座などを受講することもあるでしょう。そこでもしその問題の関連事項が出てきたら、その段階でしっかり理解に切り替えれば十分に間に合います。

問題のメジャー感を知るには周囲のお友だちに聞いてみるのも有効です。ただし、これは全体的にある程度対策が進んでからの話。過去問一周目の段階では頻出事項であっても「知らなーい」で終わってしまう可能性も高いので、初期段階においては避けたほうが良いでしょう。

計画の立て方

1か月に4科目を並行して進めるか。

1週間に1科目に集中して進めるか。

ひと月に4科目完了させるのは同じですが、それぞれ効果が異なります。

一周目で大切なのは「それぞれの科目の全体像を把握すること」。あまり長い時間をかけると、スタート時の記憶は薄れていってしまいます。複数科目の並行はせず、1科目に集中してなるべく短期間でしあげていきましょう。

※ここから先は「二周目に入る時」に読んでいただければ構いません。あんまり情報量が多くなっても、今何をすべきかぼやけちゃうかもしれないので。

過去問二周目以降は

到達目標

まず過去問二周目の到達目標は「暗記精度を上げ理解を深めること」「本番を想定した練習」「記憶をキープすること」です。

さらにステップアップ

一周目で学んだことを忘れていないか確認したり、よくわからないまま付箋をつけた問題にチャレンジして、さらに実力を1段階あげましょう。繰り返すことで、一周目では解説を読んでもよくわからなかったことが理解しやすくなっているはずです。

本番も想定

本番を想定してタイムトレーニングもはじめましょう。
115回歯科医師国家試験では135分で90問の出題。

必修・一般 65問→1問1分で65分
臨実25問→1問2分で50分
合計115分で20分マークチェックや見直しに使える計算となります。

ただし、これはあくまでも本番のタイムスケジュール。「当日のような緊張感なし」、「解いたことがある問題」という前提を考えると過去問学習ではもっと厳しい基準でないと練習になりません。

必修・一般は1問30秒をリミットにしましょう。きちんと覚えていれば瞬殺のはずの問題を、時間をかけて考えてなんとかするのは練習としては意味がありません。(本番ではもちろんOK)「あ、すっと出てこない。忘れてるな。」と気づいたら、さっさと次の問題に移り、答え合わせをしたあとに覚え直しましょう。

臨実はいきなり解答にいくのではなく、解答に至るまでの思考経路が大切なので、そこまで急がなくて大丈夫。1問1分半を目安にしてください。

さて、「問題を1問解いて、解答を確認して、解説を読んで、次の問題に移って」という進め方では「本番を想定した練習」にはなりません。いちいち制限時間を確認するのもめんどうです。ある程度の問題数をまとめて進めていきましょう。

例えば

・今日のノルマ確認:修復の過去問を60問勉強!

・最初の30問をまとめて解く。一般と臨実が含まれるので、1問1分設定で30分を制限時間とする。

・解き終わったら、答え合わせと解説の確認。必要があれば教科書などで調べたり、暗記カード作成。

・次の30問をまとめて解く。・・・・

という感じです。

問題数をいちいち数える必要はありません。おおよそ30ページ30問くらいな感じであたりをつけてください。時間設定も「この範囲に一般が○問で臨実が○問で、それぞれ計算すると○○分で」みたいに厳密にやらなくて大丈夫です。その辺りにこだわって手間を増やしてしまうと、どんどん勉強がめんどうになります。めんどうなことは続きません。さらにそこを厳密にすることで効果が段違いということもありません。

制限時間を設けて本番を想定した過去問勉強をするだけで、皆さんは他の受験生より一歩進んでいますので、完璧主義になりすぎることなく、合理的に進めていきましょう。

キープも意識して

歯科医師国家試験で問われる内容は多岐に渡り、その量はこれまでの定期試験とは比較になりません。一度勉強した内容でも放置していたら、どんどん抜けていきます。

それにも関わらず、受験生に「キープのために何かやってる?」と聞くと、ほぼ何も対策をしていないことがほとんど。これはものすごくもったいないことです。

勉強する→忘れる→勉強する→忘れる・・・・・

この無限ループにはまってしまうと、勉強しているにも関わらず合格には一歩も近づいていないことになります。

「暗記が苦手。人よりもすぐ忘れるのはなぜなのか」「理解したはずのことなのに、問題に出るとなぜか間違える」

そんなお悩みの原因のほとんどは「キープのための勉強を計画に組み込んでない」こと!日々少しずつ忘れるのは避けようがありませんが、忘れきる前に一回底上げしておけば徐々に維持率も高くなります。過去問二周目以降は、キープのためにも活用していきましょう。

計画の立て方

キープのために

さて、記憶をキープするためには、なるべく接触回数を増やすことが大切。

二周目以降は複数科目を並行して進めましょう。

基礎系、成長系(小児・矯正)、保存系、外科系、補綴系のバランスも取っておくとより安心。「この1か月保存系しかやらなかった」みたいなことは避けましょう。

ただし例外になるのは苦手科目の克服。誰でも相性の悪い科目ってあると思うのですが、そういう科目って何しろ忘れやすい!集中的に攻略しないと、勉強するよりも忘れるスピードが上回ってしまいます。他の科目はバランスを取り、並行して進めつつ、苦手科目を集中的に期間を計画に入れ込みましょう。

問題はすべて解く

一周目で間違えた問題だけ解く。

これって効率的にみえて、実はとってもキケンな方法です。

まずキープのためには「以前できた問題」にもきちんを目を通すことが大切。数ヶ月前に一度解いた問題を忘れていることはめずらしくありません。

次に「その問題を間違えた原因」です。皆さんの暗記や理解が不足していることが原因なら、もちろんそこはしっかり叩かなければいけません。でも「問題が悪い」というケースも割とあるのです。これは解釈しだいでは?求められている知識がマニアックすぎるのでは?(国内の教科書に一切の記載なしなど)そういう難問ばかりに時間をかけても成績は伸びません。(蛇足ですが「あまりよくない問題」がすべて除外扱いになるわけではありません)

簡単なことを完璧にするほど歯科国試の合格可能性は飛躍的にアップします。しかも簡単な問題を解き直すのは時間もそんなにかかりません。直前期にも通じることですが、間違えた問題のみやり直すのはやめておきましょう。

各段階ごとにチェックを

勉強しているにも関わらず思うように成績が伸びずに悩んでいる方。この機会にぜひ過去問学習の計画を見直してみてください。使い方を間違っているために、成果が現れていない受験生は本当に本当に多いのです。

デンタルオレンジのポリシーでもありますが、努力するからには絶対に結果につなげましょう!