既卒生の選択

発表後、もし予備校を選択するのであれば、かなりタイトなスケジュールで動くこととなります。場合によっては予備校も定員となることがあります。とても大きな決断を数日のうちにしなくてはなりませんので、少しでも参考になればと思います。

予備校に行くべきなのか

正直、予備校に行かなければ合格できないのかというとそうではありません。自分ひとりの力で合格を勝ち取る既卒生もいます。

ただ、数字的に考えると既卒生約1,200人のうち、大手2大予備校に在籍する人数は700〜800人。おおよそ2/3となります。さらにそれ以外の予備校に在籍する人もいますので、やはり予備校を選択する既卒生が多数派となります。

年間の学費は決して安くはないので、経済的な事情で予備校を選択することが難しい場合も多々あるでしょうが、既卒生は2年目までに結果を出さないとその後がかなり厳しくなりますので、学費ローンなども含めて検討することをお勧めします。

一方で、予備校に在籍すれば合格するわけでもありません。同じように予備校に所属していても、さまざまなサービスを十分に使い、「確実な合格」に近づいていく受講生もいれば、惰性で講義を受けているだけになってしまう受講生もいます。予備校に所属する安心感が惰性につながってしまうと本末転倒ですので、高いお金を出すからには予備校のサービスをすべて使い倒す気持ちと、受け身ではなく自発的に考えて行動する決意が必要でしょう。

予備校に行くなら

講義をはじめとして、さまざまなサポートが予備校には揃っているので、合格しやすい環境が整うのは間違いありません。指導内容に沿って、きちんと取り組めば、かなりの確率で合格できるでしょう。

さらに、予備校に行くことの利点は「出身大学以外の広い世界を知ること」だと私は思っています。大学内では当たり前のことも、別の大学ではそうでないことがたくさんあります。それを知ることは今後の人生にとって大きな財産になるはずです。

私自身は卒業後、なんとなく自分の大学に研修医として残ったのですが、幸いなことに同期の研修医に他大出身者が多かったため、そこではじめて「これまで学んだことがすべてではない」ことを実感しました。たとえば何かしらの疾患に対するアプローチ。自分の大学で学んだことと、他大で教育されていること、どちらが正しいとか間違っているということではなく、複数のアプローチを知ることは治療の可能性を大きく広げます。

予備校に行くことで、さまざまな大学出身の先生と触れ合うこと、そこで新たな考え方を得ることができるでしょう。また、予備校で新たな友人ができれば、そこから学べることもたくさんあるはずです。

また他大出身者の友人ができることは、今後の人生において大切な人脈になります。歯科業界の中では人とのつながりもとても大事。厳しい時間を一緒に戦ったからこそ、強い絆で結ばれる人たちは数多くいます。過去の受講生をみていると、大学院への進学や転職など、予備校時代の友人のアドバイスや紹介でさまざまな転機を乗り越えている人はたくさんいるので、これも未来の可能性を広げるということになります。

ただ、今年に関してはコロナの影響で人とのコミュニケーションが難しいかもしれませんね。これまでは「合格するのは当たり前。さらにプラスアルファを得ることができれば、予備校の学費は十分もとがとれる」と私は考えてきましたが、「この環境でプラスアルファは得られるのか」正直迷うところです。予備校によって、また在籍するコースによって、どの程度プラスアルファが得られるのかは異なるでしょうが、可能な限り積極的にコミュニケーションをはかってくださいね。

選択する前に

予備校に行くのか行かないのか

予備校に行くならどこにするのか

選択する前に、まずは「自分に必要なものは何なのか」しっかりと考えてくださいね。漠然とした決断は不確かな未来につながります。

以前、対策記事でご紹介した「合格に必要な6つの要素」
・理解
・暗記
・練習
・管理
・分析
・改善

これらが現状、どうなのか?
不足している部分は自分だけでクリアできるのか?
自分自身に必要なサポートはなんなのか?
時間がない中で大変だとは思いますが、一つひとつしっかりと自己分析しましょう。

予備校の選択は

6つの要素について分析ができれば、自分に必要なサポートは決まりますので、それを満たすような予備校を選ぶことになります。各予備校でどのような対策が講じられているのか調べるのとともに、可能であればそこに在籍していた先輩に相談してみましょう。
わりと多いのが「友達が行くからそこにした」というケース。気持ちはとってもわかるのですが、一人ひとり合格に必要なものは異なります。人生の分岐点ですから、人の選択ではなく自分の選択をしてくださいね。

大手予備校では講義の質は全体的にある程度担保されています。もちろん相性もあるので、すべての講義が自分に合うということは難しいかもしれませんが、内容的には問題ありません。そういう意味では講義以外のサポートが決定のための指標になるともいえます。

大手予備校以外はどうかというと、、、、ごめんなさい、正直わかりません。ただ受験生の話を聞く分には、所属する講師の先生の差が大きい印象があります。大手と同じように教育力がある先生もいれば、講義で教科書の内容を読み上げるだけみたいな先生もいるようです。正確に把握しているわけではないので、想像に過ぎませんが、講義内容の管理は大手ほどは厳密にされていない可能性があります。一方で、少人数のクラスなら講義中も十分に目が行き届いたり、指導も細かく丁寧にできるかもしれません。(こちらも一般論ですが)
住んでいる地域によっては、大手以外を候補に入れることもあるでしょうが、大手以上に事前にしっかりと調べておくほうが良いと思います。

予備校に行かない選択は

予備校に行かない、または行けない場合ですが、2つ注意してください。

まずは1つ目。気合だけで何とかしようとするのは禁物です。
自分一人で絶対に合格するんだ。その気合はとっても大切ですが、それを結果につなげるためには戦略が必要です。6つの要素、それぞれについて「どのようにクリアするか」具体的に考えましょう。

2つ目です。人とのつながりを意識的に持ちましょう。
既卒生で最悪なのは孤立して、精神的な悪循環にはまるパターンです。人との接触が少ないことを快適と感じることもあるでしょう。でもそれが長期的に続くことは、確実に自分の精神状態を悪くします。友人と定期的な勉強会をしたり、懇意にしている先生に進捗状況の報告や相談をしたり、いつもの自分よりも積極的に人とのコミュニケーションを増やしましょう。

いずれも当たり前のことではあるのですが、本当に本当にこの2つで失敗する人が多いのです。最も起こり得るリスクなので、ぜひそれを回避してください。

また予備校に在籍していないと、どうしても学習内容が偏りがちになるので、模試は大手2社の6回分は必ず受けてください。可能であれば、予備校の短期講座なども部分的に活用しましょう。