現役有利?既卒不利?
既卒の合格率が厳しいことはもう言うまでもありませんが、既卒なら誰もが合格しにくいわけではありません。少し前のものになりますが、110回のデータをみて、ちょっと考えてみましょう。
110回の合格発表はこんな感じでした。
新卒 76.9%
既卒 46.6%
これだけみると「やっぱり既卒の方が30%も低いじゃないか!」となってしまいそうですが、ちょっと待って下さい。
第110回の新卒出願者は2462人、うち新卒合格者は1426人。
ここから計算すると出願者ベースの新卒合格率は57.9%となります。
これに対して既卒合格率は浪人年数別の数字をみると以下のようになっています。
1浪 58.8%
2浪 54.9%
3浪 31.7%
4浪 30.2%
5浪 15.4%
1浪生の合格率が新卒合格率よりも少し高いことがわかりますね。また2浪生もこれとほぼおなじ数字となっています。既卒生全体の数字が低いため、現役生が油断してしまったり、既卒生が気落ちしてしまったりしがちですが、それは禁物!単純に現役有利、既卒不利とばかりはいえないのです。
現役生の場合は
4月の時点で6年生になったからといって、全員が国家試験を受験できるわけではありません。
まずは出願の時点で「出願できる人」「出願できない人」にわけられます。
次に出願していても「受験できる人」「受験できない人」にわけられます。
最後に「受験できた人」の中で「合格できた人」「合格できなかった人」にわけられます。
厚生労働省で発表される「新卒合格率」は「新卒合格者/新卒受験者」。
だからこそ毎回高いものになっているのです。
でも「新卒合格者/新卒出願者」で計算すれば、合格率は大きく減少し、さらに「新卒合格者/4月時点での6年生全員」で計算すれば合格率はより低くなります。
現役だからと言って、油断はまったくできません。合格率の低さばかり何回も何回もあちこちから言われていやになっちゃう気持ちもわかりますが、現実から目をそむけて良いことはひとつもありません。普通にやっていれば、普通に合格するような試験ではまったくないことをしっかりと覚えておいてください。
6年生になったら(できればそれ以前から)自分の大学の過去のデータを確認して、どのレベルに入れば合格の可能性がどのくらいあるのか、しっかりと認識しておきましょう。
現役生の強みは、その勢いです。
だからこそ、油断して勢いを損ねてしまったり、方向性を間違えて全然違う方にいっちゃうのは禁物!!勢いを上手につかって、卒試も国試も一気にクリアしちゃいましょうね!
既卒生の場合は
上記のデータからわかるように、2浪くらいまでは現役と大きな差はありません。 一方、5浪を越えるとかなり厳しいことがわかるでしょう。
何年か受験を繰り返すことで、心身ともに疲労感はどんどんたまっていきます。自覚していなくても、本人はがんばっているつもりでも、客観的にみると「あと少し」の頑張りがどんどんきかなくなっていきます。
現役時代に必死にがんばった人ほど、納得のいかない結果にうちのめされ、次に向かって頑張る気持ちになれないかもしれませんが、二度とそんな気持ちに陥らないためにも、どうか全力を尽くしてください。
よく「既卒がこんなに合格率が低いのはおかしい。なにか裏で操作されているのではないか」という噂を聞きますが、そんなことはありません。 もちろん合格基準の決め方は詳細な部分まで公表されるものではありませんので、これはあくまでも個人的な見解ですが、国家試験の問題と個々の受験生の点数をみると、なんらかの操作が疑われるような事例は一件たりとも存在しないのです。 (大手予備校で長年、年間希望面談数が一番多かったので、歯科医師国家試験対策の受験生指導では日本で最多を自負しています)
というか、ちょっとひどい言い方になってしまいますが、厚生労働省は既卒生のことは眼中に無いように思います。
毎年の合格発表ですが、厚労省の記載は以下のようになっています。
ね、、、既卒生のデータは載ってないんです。 新卒と全体だけ。。。。 これも個人的な想像でしかありませんが、ボーダーを決める際の優先的な基準は新卒の母集団であり、既卒生はそのボーダーをクリアするなら合格でいいよって感じじゃないのかなって思います。
既卒は良くも悪くも特別扱いはされていません。
きちんと点を取れば合格できます。
なので、どうぞおかしな噂に振り回されずに、きちんと努力を積み重ねて合格を勝ち取ってくださいね!