歯科医師国家試験対策の基本スケジュール

歯科国試対策で最も重要になるのは「全国模試を有効活用できるかどうか」です。

それにも関わらず、まったく仕上がっていない状態で全国模試を受験する人は数多くいます。

これは本当に致命的。せっかくの模試なのに、その効果は半減してしまいます。

「いつの日か合格できればいいや」というならスケジュールも不要ですが、次の国試で決めたいのであれば、きちんと戦略的なスケジュールを意識していきましょう。

対策スケジュールは3期にわかれる

繰り返しになりますが、歯科国試の合否は「9月から12月の全国模試」にかかっています。

模試期間を基準として、全国模試が開始するまでの準備期(8月末まで)、全国模試を使いこなし実力をぐぐっと伸ばす発展期(9月から12月)、最後にやり残しが無いか徹底的に見直す仕上げ期(1月)の3つの期間を意識してください。

準備期にすべきこと

模試の活用はPDCAが基本です。

Plan:計画して

Do:実行

Check:評価して

Action:改善

模試=評価 ですから、それ以前にきちんと「計画と実行」をしていなければ、評価もグダグダになってしまいますし、改善すべきところは全部!なんてことになりかねません。

8月末までに完璧に仕上げるなんて無理な話ですが、少なくとも「全科目の一通りの学習」は終わらせてください

その中で、時間が無いなりに自分の戦略を立てて実行しておきましょう。

たとえば

「攻めの科目の代表格である衛生と外科は他の科目の倍以上の時間をかけて、模試では平均プラス10%を目指す」

たとえば

「守りの科目の義歯は、出題が多い咬合採得にしっかりと時間をかけて、模試では平均前後を目指す」

この計画と実行があって、はじめて模試での評価がいきてきます。実行したのに目標に到達できなかったら、時間がまだ不十分だったのか、ポイントをつかみきれていなかったのか、暗記が不足していたのか、問題での練習が足りなかったのか、模試の正答率などのデータを見ながら、改善点を絞り込むことができます。逆に実行したことで目標に到達したら、その方法を継続すればよいということになります。

それぞれの科目に対して、どの程度時間をかければ、どのくらいフィードバックがあるかは人によって大きく異なります。つまりは、やってみないと見通しはたちません。1回ごとの模擬試験はかけがえのないチャンスです。決してムダにしないでください。

模試の準備については、よかったらこちらの記事も参考にしてくださいね。

既卒生の合否は夏までのがんばりで決まる

多くの場合、現役生は「勢い」があります。

9月の第一回全国模試では既卒生の方が成績は高く、これが第二回、第三回と回を重ねるごとに、どんどん逆転していきます。

既卒生は、後ろからぐんぐんと迫ってくる現役生に追いつかれることなく、逃げ切らなくてはなりません。

既卒生の戦略は先行逃げ切り以外にありません。9月が国試本番、6〜8月は直前期だと思ってください。

最悪なのが、4月に予備校に入り、慣れるまで数ヶ月かかり、秋ごろに「そろそろやらなくちゃ」と思ったら第一回の公開模試でそこそこ取れてしまい、「あれ、なんか大丈夫そうじゃない?」って油断してしまうケースです。第一回模試で既卒生がそこそこ取れるのは当たり前ですからね!すべきことをしていないのに、油断してしまうのは絶対ダメです。3月の悔しさを絶対に忘れないでください。

特に何回か受験を重ねている人は、自分でも気づかないうちに気持ちの疲労が大きくたまっています。自分では必死にがんばっているつもり。でも客観的にみると明らかに勢いは落ちていて、前年の80%くらいしかがんばれてない。そしてまた、ほんの少しだけ足りずに合格を逃してしまう。そんな悪循環にはまらないよう、何しろ夏までの貯金をひたすらためてください。

発展期にすべきこと

全国模試がスタートすると、「全国の成績データ」を活用して、より効率的に自分の課題を絞り込むことができます。

国試の合格基準のほとんどは相対基準。徹底的に他の受験生と自分を比較していきましょう。

大きなところでは、総合得点や領域ごと、必修の得点が全国平均と比べてどうなのかチェック。

また細かなところ(でも超重要!!!)では、1問ごとに全国正答率を見て、自分が思うポイントがずれていないかチェック。

自分ではそんなに重要(メジャー)だと思っていなかったのに正答率がすごく高かったら、徹底的に勉強し直しておきましょう。逆に「うーん、これ難しいなぁ」と復習に時間がかかりそうな問題の正答率がヒトケタだったら、その問題はやらなくて(または後回しで)全然かまいません。「みんなが知っていること=国試で出やすいこと」ですから、メリハリをつけて短時間で一気に成績を伸ばしていきましょう。

9月から12月までの発展期は、受験生全員にとって地獄のようにキツい期間です。その一方で、正しい戦略を持って乗り越えることができれば、驚くほどのパフォーマンスを発揮できるスペシャルな期間でもあります。

ぜひ、死ぬほど勉強してください!効果のほどは保証します!!

仕上げ期にすべきこと

超直前期の1月は、原則的に「新しいことをやるのは厳禁」です。

これまで積み重ねてきたものが、すぐに使える状態にキープできているのか、一つひとつ確認していきましょう。

受験生全般にいえることですが、皆さんがんばっていろんな武器を手に入れているのに、メンテナンスが不十分!一度わかったからといって、それを放置したら、あやふやになったり、使い方を間違えるのは当然です。「知っていたはずなのに解けなかった問題」ってよくありますよね。それがメンテナンス不足のサインです。せっかく時間をかけて理解したり、覚えたりしたのに、もったいなさすぎます!

自分を過信せず、知識の整理整頓とメンテナンスはいつでも心がけておきましょう。これまで積み重ねた努力をムダにしないでくださいね。

さて、上述したように仕上げ期に「これまでやってきたことの見直し」をするためには、1月以前の積み重ねが必須となります。12月末までにどれだけできたかによって、1月のメニューは大きく変わってきますから、早い段階で1月の予定を立ててもあまり意味がありません。1月はざっくりと「最後の見直し期間」としておき、できる限りのことを12月末までに済ませておきましょう。(卒業試験がある現役生には難しいかもしれませんが、既卒生では必須です)

また9月からの発展期では、最後の見直しを意識して知識を整理しておくのがオススメです。

たとえば、講義プリント、教科書、参考書、模試の解説書それぞれに書き込みをしていると、1月に目を通さなくてはならない資料は膨大になります。可能な限り基地は科目ごとにひとつに決めて(プリントでも参考書でも書き込みがしやすいものなら何でもかまいません)、そこに自分が必要な知識を集約させていきましょう。きっと1月になって「過去の自分ありがとう」と思うはずです。

期限があるからこそ能力が発揮できる

期限が無いのに、前もってがんばれる人はほとんどいません。そして期限があっても、それが数か月後だとなかなか現実感を持つことはできません。ここでご紹介した3つの期間の期限をぜひ学習スケジュールに取り入れてみてください。

思うように勉強が進んでいないと、それぞれの期限までに目標を達成するのは難しいと感じるかもしれませんが、そんな時には目標設定を調整したり、限られた時間をどう使えばよいのか考えてみてください。「期限ありきで自分の戦略を模索すること」は皆さんの能力を最大限に発揮することにつながります

私自身も締め切りが無いとついついズルズルしてしまうタイプなので、スケジュールを立てたり、それをきちんと守ることが苦手という辛さは人一倍よくわかります。でも、逆に言えばだからこそ!!!なのです。ズルズルしがちだからこそ、スケジュールの枠が必要ですし、それを実行していく工夫が不可欠です。さらに言えば、自分のコントロール法がうまくなると人生そのものが変わります。

受験期はものすごく大変だけど、大きく大きく成長するチャンスでもあるので、辛さに負けずにがんばりましょう!