歯科に興味がないジレンマ
どうしても歯科に興味が生じない悩み
医学部も似たところがありますが、歯学部は特に「親が歯科医師だったから歯学部に進んだ」学生さんがとっても多いですよね。
私自身は逆に「親の希望をけとばして歯学部に進んだタイプ」です。世代もあるのでしょうが、うちの父親は「女の子は就職なんてせずに嫁に行くのが一番」という人でした。娘にそうさせることが、父親としてのプライドと思っていたフシもあります。でも私はどうしても手に職をつけたかったので親に何の相談もせずに歯学部に進みました。
なので、親御さんのために歯学部に進んだ学生さんを見るたびに「すごいなぁ」と心の底から思うのです。大学を選ぶのは18歳。そんな若い頃に、親のために進路を決めるなんて、物分りが良すぎます。嫌味とかじゃなくて本当にすごいなって思います。
親御さんが歯科医師ではないけれど、シンプルに大学受験の際に偏差値で選んだ人も多いでしょう。これもごくごく一般的ですね。歯の大切さを実感するのはある程度年齢が進んでから。高校生の時点で「口腔の健康を守ることを一生の仕事にしたい」と考える人はそれほど多くないでしょう。
ただ、実際に歯学部に入学してから「歯科医学に全然興味がわかないけど、このまんまでいいのかな?」って感じることも多いようですし、さらに過酷な受験期に入ると「まったく興味がわかないことのために、なんでがんばらなくちゃいけないんだろう」と落ち込んでしまうケースも少なからずあるようです。
もしも皆さんが「歯科に興味ないけどこのままでいいのかなぁ」とモヤモヤする気持ちを抱えていて、今ひとつ勉強に気持ちがのらないのなら、この機会にちょっと考えてみましょう。
成績があがれば興味がわく
ゲームとかでも、最初から難易度が高すぎると面白くないですよね。
極論かもしれませんが、歯科医学もある程度の習熟レベルに達するまでは面白くないのが当然だと思います。
予備校で教える講師の先生の中には「まずはその科目に興味を持たせれば、成績はそれに伴う」ポリシーを持っている方もいます。そうできれば確かに良いですし、最も理想的だとは思うのですが、これがなかなか、、、。正直、あまりこの方針で成功した例を見たことがありません。成功しても時間がかかることが多く、期限がある歯科国試対策ではちょっと取りづらい方針だと個人的には感じています。
ですので、まずは「最初は興味をもてなくて当たり前だよね」って覚悟を決めてしまうのがオススメです。大丈夫。ある一定のレベルまでたどり着けば、自ずと興味は湧いてきます。
人を選ぶ方法ですが
私も正直、未だに「この科目の面白さが今ひとつわからん」と思うことがあります。とはいえ、各科目の専門家である大学の先生との差別化は「全科目の指導ができること」だと思っているので、勉強し続けないわけにもいきません。
そこで編み出したのが「興味をもってるふりをする」方法!
どうしても読んでおかなければならない、でも気がすすまない文献などは、読み進めながら「え!そうだったんだー!びっくり!!」、「なるほどー、そういう仕組だったんだ。へー」と口にしながら、自分をなんとかのせていきます。反応しながら読みすすめると、なんとなく面白い気になってきます。また、口に出すことが刺激になるのか、一度読むだけで頭に入りやすい感じがします。
これ、ほんとバカみたいなので、あまり人に言ったことはないのですが、わりと効果があります。とはいえ、良くも悪くも自分をだましやすい人向けかなと思いますので、万人向けでは無さそうですが。よかったら試してみてください!
別の道を選ぶなら
歯科医師になることばかりが正解ではありません。未来の自分を想像したときに、一生の仕事として「歯科医師を選ぶこと」にどうしても抵抗がある場合は、方向転換するのもありでしょう。
ただ、現実問題として、歯学部を卒業して一般的な就職をすることはなかなか難しく、臨床以外の方向を考えるにしても「歯科関連」の仕事を選択することがほとんどでしょう。別の専門職を目指すのであれば、低学年での早めの決断が必要となります。
何年か浪人を繰り返した後に、歯科医師をあきらめて全く別の業界に進み、そこでしっかりと成功している人もいます。ただ、多くの場合は、一度あきらめても再度受験を考える傾向にあります。そこまで積み重ねたものがあるだけに、そう簡単にはあきらめられないし、自分の人生に区切りがつかない、そんな気持ちはとてもよくわかります。
この話は人生そのものに関わってきますので、また別の記事で扱わせていただきます。ただ、なんとなく勉強がいやだから「興味がもてないなー」と思っているのか、歯科医学よりも圧倒的に興味を持てること、一生の仕事にしたいと思えるくらいの別の何かがあるのかは、しっかりと区別しておきましょう。
臨床をはじめて激変することも
実際に診療をはじめて、歯科医学への興味が一気にわいてくる。
実はこれ、すごいあるあるです。
机上の勉強では「だからなんなの」と思ってた内容も、実際に診療を行ってみると「なるほど!確かにこれ大切!!」と実感することがいっぱいあります。ようは「知っているだけではなく、現実で使える知識」になると自然に関心は高まります。
もちろん、これは学生時代に感じてもらえるような教育を行うことが理想なのですが、どこまでいっても「自分の責任で行う診療」とは重みが違います。
また苦しんでいる患者さんを助けてあげられることも大きなモチベーションにつながります。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、実際に自分が行った診療で患者さんの痛みがなくなったり、美味しくご飯が食べられるようになって、感謝されるのはシンプルに嬉しいものです。
結局「とりあえず免許とってから考えよう!」みたいな話になってしまって恐縮ですが、多くの先輩方が「死にそうなくらい悩んだけど、過ぎてしまうと笑い話」にしていますので、皆さんにもそうあってほしいなと心から思います。