残念な結果になった場合
「今こうやって動き始めようとしている」こと。なかなかできることではありません。
その強さがあるなら、絶対にこの壁は乗り越えられます。痛みや恐怖はそう簡単に消えません。でも、二度とこんな思いをしないために、痛みは抱えたままリスタートしましょう。あなたならきっとできるはずです。
まず行うべきこと
次回の国試までは約10か月。この期間をどう過ごすべきか考えるにあたり、まずは改善点を明確にしておきましょう。数日後、合格基準別の得点結果がはがきで届きますので、それを確認してください。
今まで聞いたことも無い知識が問われた問題、一生懸命考えても解答の糸口さえ見つからなかった問題、試験中に時間をかけた問題ほど記憶には鮮明に焼き付いているでしょう。だからこそ、真摯に反省しようとするあまりに「もっと多くの知識を得なくては」「もっと難しい問題も練習しなくては」と思ってしまう気持ちはよくわかります。
ただ、これは「感覚的な分析」に過ぎません。
「客観的な分析」はきちんと数字を使って
どうか今一度、国試の問題冊子をチェックしてください。
正解できていると思っていたのに間違えた問題
何度も見た知識が問われているのに本番で思い出せなかった問題
メジャー項目なのにきちんと覚えることを後回しにしてしまった問題
つまりは、受験生の半数以上が正解していそうな問題で間違ってしまった問題は何問ありますか?さらに、点数換算すると何点分でしょう?これらを正解していたらボーダーに達する人がほぼ100%だと思います。
現段階で優先すべきは「自分の勉強法の改善点を明確にすること」です。
きっちり覚えるための時間や取り組みが不足していたのか?
丸暗記になってしまい、理解することが不足していたのか?
勉強内容のバランスや時間管理が適切でなかったのか?
ここを明確化すれば、今後すべての勉強において学習効果を高めることができます。
ピックアップした「正解すべきだったのにできなかった問題」それぞれを正解するには、何が必要だったのか一問ごとに書き出し、こちらも数字をきちんと出しておきましょう。(例えば「暗記が甘かったため正解できなかった問題が◯問」のように)
ベース(土台)は丁寧にしっかりと作る
限られた時間の中で「何をどのくらいやるか」はとても大切。きちんと問題を見直して「わかっているつもり」「できているつもり」だった部分を十分に自覚することは、これからの自分の選択眼をパワーアップさせます。
歯学部に6年間通っていれば、ある程度の専門用語は耳にします。ただ「聞いたことがある」のと「きちんと理解している」のでは大違い。この罠にはまってはいけません。メジャー項目に対しては「暗記」「理解」ともにしっかりと精度をあげておきましょう。知っているつもりだったけど、本番で問われてみるとわからなかった、つまり「自分のツメの甘さ」を実感できることは既卒生の最大の武器になります。
今回に限らず、初めて国試で出題される新規項目は毎回必ずあります。ただ、それは全体のごく一部。5年前に歯科医師になった先生と話が通じないなんてこと、ありえません。ベーシックな内容はいつだって出題されますし、それがすべてのベースになります。
新規項目対策も大切ですが、貧弱な土台の上にそれらを積み重ねることは大きなリスクが伴います。感覚的な判断ではなく、理性的な判断のもと、学習を進めてくださいね。
自分の全否定はやめましょう
最初に申し上げたとおり、ショックを受けながらもここを訪れるほどの強い気持ちをもっている人だからこそ、過去の自分を強く責めてしまったり、自分のことをすべて否定してしまうかもしれません。自分をかえりみることは確かに大切です。でも、全てにおいてダメだったなんてことは決して無いはずです。これは慰めではありません。ここも合理的にきちんと認識しておいてほしいのです。
「改善点の明確化」について上記で述べましたが、一方「国試受験における自分の強み」もきちんと認識しておきましょう。長所も短所も含めて、自分のことをよく知るチャンスはなかなかありません。「すべて改善が必要」とストイックに考えてしまうことは一見とても前向きに見えますが、単なる精神論です。また「すべて改善」ということは、結局のところ「特に注力して改善すべき点が明確になってない」ということです。
それと、自分を上手にコントロールするためには、「褒めるべきところは自分で自分をどんどん褒める」ことがとても大切です。「自分を厳しく律する」こと、「自分をきちんと褒める」こと、この両方が揃ったときに推進力は最大になります。
自分に対する厳しさも優しさも、どちらも「自分を大切にすること」です。
これから、また過酷な毎日がはじまります。
自分を大切にしなければ、到底もちません。
そんな気持ちになかなかなれないかもしれませんが、「これまで、しっかりとできたこと」にはどうか自信を持ってくださいね。