112回をふりかえる

112回の歯科医師国家試験は、ここ最近で最も各領域のボーダーが低かった試験でした。
相対的な合格ラインが下がったということは、問題の難易度が全体的に高かったということです。
という話をすると受験生の皆さんは
「難易度が高い問題も解けないとダメなんだ」
と勘違いされるかもしれませんが、そうではありません。
既卒生の中にもまだ勘違いしている人がいるかもしれませんが、「難易度が高い問題が解けなかったからダメ」なのではなく、「難易度が高い問題に動揺して普通の問題でミスをしたからダメ」だった人がかなりいたのでは無いかと思います。大切なことなので、ぜひこの機会に確認してみてくださいね。

国試問題の難易度は当日すぐわかる

国家試験会場で出てくる受験生の顔や様子をみていると、その年の問題の難易度が顕著に現れます。
全体に浮かれ気味だと「あー、問題が易しめだったんだな。ってことはボーダー上がっちゃうな−」、もう死にそうな顔つきで口数も少ないと「問題が難しかったんだな。まぁボーダーは低めになるかな」って感じです。
問題が難しくても、条件は受験生全員同じですし、なにも落ち込む必要はありません。
といっても、実際その場で受験していたら冷静にそう考えることは難しく、焦りや不安で実力が出し切れなくなってしまう気持ちもよくわかります。
せっかくいろんなものを犠牲にしてがんばってきたのだから、当日の動揺で失敗してしないよう先手を打っておきましょう。

失敗原因は何だったのか?

112回で残念ながら不合格になってしまった人の解答をみると、例外なく

「50%以上の正答率、つまり半分以上の人が正解できている問題」

を落としています。さらに、その問題をカウントすると、ほとんどのケースで合格基準はきちんとクリアするのです。
本人も「なんでこんな問題を落としてしまったんだろう」と悩みまくりますが、率直に言って112回のように問題の難易度が高い年にはめずらしくない失敗の仕方です。

難易度が高い問題が多くても動揺しないためには?

基本をおろそかにしない

試験対策の大原則ではありますが、やはりこれです。
人間なので動揺そのものを完全に抑えることは不可能です。
それよりも「動揺しても問題ない」状態に仕上げておきましょう。
その安心感があれば、さらに動揺が少なくなるとう良循環にもつながります。
普通の状態で解けるのは当たり前。普通じゃない状態でも間違わないところまで、しっかりと学習の精度をあげてください。

難易度が高い問題=難しい国試 ではないことを理解する

わかっていても気持ちが揺れてしまうことはもちろんあります。
でも事前に知っているのと知らないのとでは大違いです。
難易度が高い問題が多くても、合否に影響は無いんだということを今一度しっかりと意識しておいてください。
自分の気持ちをきちんとキープすることができれば、動揺したライバルたちが勝手に崩れていってくれます。

模試を本気で受ける

これがこの記事で一番伝えたかったことです。
112回受験生たちが受けた過去の模試にも、問題が難しい回はありました。すでに経験はしていたはずです。それにも関わらず、本番で崩れてしまったのは、「国試」と「模試」を無意識のうちに区別してしまっていたからでしょう。

国家試験の結果に影響するのは、学習の量や質だけでなく、事前の過ごし方、当日の過ごし方、試験中の解き方などさまざまなものがあります。
その中で「試験中に、自分を上手にコントロールし、パフォーマンスを最大にすることの練習」は模試でしかできません。
どうか本番だと思って、毎回の模試を受けてください。
2日間終わったときにヘトヘトになるくらい、全身全力をつぎ込んでください。
貴重な練習の機会をどうか有意義に使ってくださいね。