全体合格率61.6%って、、、

悲しみや悔しさを押し殺し、頭をぐっとあげて前を向こうとしている受験生の方々もいる中で、本当に申し訳ないのですが、少しだけ吐き出させてください。

全体合格率61.6%って、やっぱりおかしいです。

これまでの経緯や、なぜこれほどまでに歯科医師国家試験を厳しくしなければいけないのか、一通りは理解しているつもりです。

でもここまでの削減が本当に必要なんでしょうか。

「歯科国試が厳しいのなんて当たり前。今に始まったことじゃない」

昨日から、そう自分に言い聞かせようとしていますが、やっぱりそんな簡単に割り切れません。

厳しいのがいやなら入学しなければいい?歯科医師を目指すのってそんなにいけないことなんでしょうか。患者さんの生きる力になっている先生はいくらでもいますよ。

歯科口腔保健推進法第1条の「口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることに鑑み」ってのは嘘ですか?本当に口腔の健康が大切だと考えているなら、その重要な担い手である歯科医師や歯学部学生をもう少しだけ大切にしてくれませんか?特別扱いじゃなくて良いんです。もう少しご配慮いただきたいのです。なぜ若い人たちがこれほどまでに過酷な状況に追い込まれなければいけないのでしょう。

受験生に広がる閉塞感

あくまでも個人的な見解ですが、他の数字の推移から今回のこの数字は偶発的なものと考えています。例えば新卒合格率に関しては今回77.1%でしたが、過去には109回の72.9%という今回より大幅に低い年もありました。

ボーダーが1点違えば、合格人数も大幅に変わるため、やむを得ない決定だったのでしょう。

基本的には歯科医師国家試験の運営に関わる方々の選択を信頼していますし、制度改革においても受験生に不利益が生じないよう多角的に検討し、実行してくださっていると思っています。

でも61.6%という数字はインパクトが強すぎます。

ここ最近、受験生の中に暗く大きな閉塞感がじわじわと、でも確実に広がっていることを感じています。

がんばってもどうせ受からない。

免許をとっても歯科医師という仕事はどうせ厳しい。

そんな気持ちになってしまうのは受験生個人の責任ではありません。

歯科医療の質を担保するために歯科医師の数はある程度抑えなければいけない。わかります。

でもこんな暗い気持ちを抱えた若い人たちが増えることは果たして歯科医療の質をあげることにつながるのでしょうか?

厳しすぎる現実は無力感を生み出します。今回のこの数字が全国の多くの受験生の足かせになってしまうことを心から心配しています。

受験生の皆さんへのお願い

先にも述べたように、今回の数字が「今後ますます歯科医師国家試験が厳しくなるサイン」つまり「今後は全体合格率が50%台になっていく兆候」だとは現段階では考えておりません。今後もさまざまな先生からご意見をいただきながら、今回のこの数字が本当に偶発的なものなのか考えていくつもりですが、おそらく心配しすぎることの方が弊害は大きいでしょう。

受験対策をする講師の先生の中には、この数字を「受験生を奮起させるための材料」として使う方もいるでしょう。受験生も本当にいろいろ。危機感が少なすぎる受験生も確かに一定数いるので狙いはわかります。私自身も通年の指導を行う際には、時に喝入れとしてこういった数字を使うことはあります。

ただ、集団へのメッセージは、そのアドバイスが不要な人には強く響き、そのアドバイスが必要な人には届かないことがとても多いのです。

歯科医師国家試験に対して危機感を持つことは確かに大切ですが、それが過剰な危機感や不安感に育たないようどうか注意してください。自分の心の動きは自分が一番よくわかるはずです。

私自身、割り切れない気持ちはまだまだありますが、前を向くしか無いので、この記事を投稿したら泣き言はいわず、合格への最短ルートを皆さんに示せるよう取り組んでいきます。

こんな閉塞感、ぶち破っていきましょう!壁は確かに大きいけれど、今こうやって次の対策を考えている皆さんなら絶対に乗り越えられるはずです。

そんな思いを込めて、第116回歯科医師国家試験対策バナーのメッセージは「Break the Wall」としました。

壁の先にある風景を、一年後に必ずいっしょに見ましょうね。